アマトリチャーナとは? ~玉ねぎは入るか、入らないか~

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アマトリチャーナとは?

質問!トマトソースのパスタって聞いて何を思い浮かべる?

ボロネーゼ?アラビアータ?プッタネスカ?

もしかしたら、あなたが思い浮かべたのはアマトリチャーナだったかも。

でも、アマトリチャーナの特徴って…?

「玉ねぎとベーコンが入ったトマトソースのパスタでしょ?」

「ぶっぶー!」

正解は…。

一般的なアマトリチャーナ

Bucatini alla amatriciana  ブカティーニ アッラ アマトリチャーナ

ブカティーニのアマトリーチェ風ソース。穴あきストロー型スパゲッティのトマトとグアンチャーレ(豚のほほ肉の塩漬け)のソース。

『イタリア料理検定教本2019年度』料理出版

料理の教科書とか、ちょっと本格的なイタリア料理店で見かけるアマトリチャーナは、しれっと「ブカティーニ」を使うことになってる。

ブカティーニって、真ん中に穴が開いたストローみたいなロングパスタ。

名前の由来はイタリア語で「穴」っていう意味の「buco」から。

ローマでは日常的に食べられてる「ブカティーニ アッラ アマトリチャーナ」。

一般的に想像されるアマトリチャーナの姿

ブカティーニ

一般的に想像されるアマトリチャーナの姿

ブカティーニ アッラ アマトリチャーナ

 

 

 

 

 

 

 

そう。アマトリチャーナはローマのある、ラツィオ州の郷土料理。

発祥地は「アマトリーチェ」っていう町。ローマの北東約104kmの場所にあって、ローマからはけっこう遠い。そこで生まれたアマトリチャーナは、ローマで大人気なんだって。

アマトリチャーナの特徴は…

  • パスタはブカティーニを使って
  • グアンチャーレ(豚のほほ肉の塩漬け)を加えたトマトソースにペコリーノチーズを絡める
  • 唐辛子やにんにく、玉ねぎが入ることもある

(グアンチャーレとペコリーノチーズについては別の記事で詳しく書いてます → 「カルボナーラとは?~生クリームとベーコンをめぐる混乱~」)

要するに、日本のお店でよく見る「玉ねぎとベーコンのトマトソース」は本物の「アマトリチャーナ」じゃないって言いたいんでしょ、って?

そんなことはなくて、むしろ「本物のアマトリチャーナ」が何なのかを断言するのが難しい。

アマトリチャーナの兄「グリーチャ」

トマトがイタリア料理に使われるようになったのは17世紀から。トマトソースとして使うようになったのはもっと後の19世紀になってから。

今となっては、イタリア料理といえばトマト。だけど、トマトが世界中に広まったのはコロンブスの新大陸発見後のこと。「1492年」「1492いよくに → 燃えるコロンブス」で覚えたな、懐かしい。

そんなトマト氏、イタリアには1554年に上陸。

最初に入って来たのは黄色いトマトで、黄金色だったことから「ポモドーロ pomodoro = 黄金のリンゴ」っていう可憐な名前が付けられて、そのときは観賞用だった。

料理に使われ始めたのは17世紀になってから。ってことは、それまではアマトリチャーナは存在しなかった?

いいや、あったんだよ。その名も「グリーチャ gricia」。今では「アマトリチャーナ・ビアンコ」っていう風にも呼ばれるトマトの入ってないアマトリチャーナ。

アマトリーチェ町の近くに「グリシャーノ」っていう小さな村があって、そこの羊飼いたちが、グアンチャーレとペコリーノチーズであえたパスタを作ってたんだって。

グリシャーノのパスタだから「グリーチャ」。

その後、アマトリーチェの人たちがトマトを加えて、アマトリチャーナが誕生。先に生まれたグリーチャはお兄さんみたいだね。

そして、今となっては、弟のアマトリチャーナはイタリアを飛び越えて世界中で大人気。

「赤にしますか?白にしますか?」

ワインじゃなくて、ソースの話。

赤アマトリチャーナ 白アマトリチャーナ

グリーチャ photo by Luca Nebuloni

玉ねぎは入るのか、入らないのか?

これがシェアしたいことの1つ目。

本来、アマトリチャーナには、玉ねぎは入ってなかった。

辞典で見るアマトリチャーナの定義にも玉ねぎっていう単語が出てこない。

にもかかわらず、レシピを見ると大抵玉ねぎが入ってくる。

これ、イタリアでも同じ現象が起きていて、ローマのアマトリチャーナには玉ねぎが入ってることが多いし、有名シェフやレストランのレシピにもやっぱり入ることが多いんだって。

どうやら、アマトリチャーナがローマに伝わった後に玉ねぎが入るようになって、そのまま定着したみたい。

何で入れるのかっていうと、グアンチャーレとか、ペコリーノチーズの強い塩味が、玉ねぎの甘さと、爽やかさが加わることで味のバランスが良くなるから。

でも、それがどうした!って、反発してるのが、本家本元のアマトリーチェの人たちで

彼らは、絶対に玉ねぎは入れない。

他の地方ではニンニクを入れることもあるけど、それもダメ。

アマトリーチェの人の作る本物のアマトリチャーナに必要な材料は3つだけ。

  • グアンチャーレ
  • ペコリーノチーズ
  • トマトソース

と、いたってシンプル(唐辛子は入ってもOK)。

「ニンニクや玉ねぎを使用するのは、世代から世代へと受け継がれている1000年の伝統を無視することになる」んだとか。

そういう、郷土愛っていうか、こだわりっていいよね。

本場のイタリア料理って意味では、ローマのアマトリチャーナには玉ねぎが入るから、それは本物。

でも、オリジナルのアマトリチャーナには玉ねぎが入らないのが本当。

パスタは何を使う?

じゃあ、オリジナルのアマトリチャーナのパスタはブカティーニでいいの?

「え?」

そう。シェアしたいことの2つ目。

「ブカティーニ・アッラ・アマトリチャーナ」はローマのアマトリチャーナ。

実は、発祥地のアマトリーチェでは、ブカティーニじゃなくて「スパゲッティ」を使うのが決まりで

毎年8月末に開催されるアマトリチャーナのサグラ(収穫祭)でもスパゲッティでアマトリチャーナを作るし

街の入り口にある道路標識にも

「AMATRICE citta degli spaghetti all’amatriciana 」

=「 アマトリーチェ.スパゲッティアマトリチャーナの街」

って書いてあるんだって。うん、ググってみたけど、ホントに書いてあるよ。

本当のアマトリチャーナ

日本や世界で一般的とされるアマトリチャーナはきっと、ローマのアマトリチャーナ。

  • グアンチャーレとペコリーノチーズをあえたブカティーニのトマトソース
  • ニンニクや玉ねぎを入れることが多い

いっぽう、発祥地のアマトリーチェでは

  • グアンチャーレとペコリーノチーズをあえたスパゲッティのトマトソース

アマトリチャーナがローマに伝わったのは17世紀頃。その後、色んな場所で色んなアレンジが加えられているけど、それも多くの地域で愛されてるからこそ。

ブカティーニ以外にも、リガトーニとかトンナレッリとの組み合わせも多いし、お隣のアブルッツオ州ではキタッラのパートナー。相性もバツグン。

グアンチャーレとペコリーノチーズの使用には、誰もが同意。

アラビアータとの違いは?

意外と混同されやすいのがアマトリチャーナとアラビアータ。

共通点は、トマトソースを使うラツィオ州出身のパスタってこと。

アラビアータは、ニンニク、トマト、唐辛子のソース。

ペンネに和えられることが多くて「penne all’arrabiata」は「ペンネ・アッラッラッビアータ」っていう舌を噛みそうな読み方をして、意味は「ペンネの怒りんぼ風」。

唐辛子が辛くて、簡単に怒ってるみたいに顔が赤くなっちゃうのが名前の由来。

面白い情報っていうとその位で、アラビアータには、カルボナーラとかアマトリチャーナみたいな伝統はないみたい。

もともと、ローマのトラットリアでアマトリチャーナの代わりとして提供されたレシピなんだって。

よく見るとアマトリチャーナから具材をぜんぶ取っぱらって、ニンニクとたっぷりの唐辛子を加えたパスタ。

アマトリチャーナから生まれたソースで、しかも両方、色んなふうにアレンジされがちだから似通っちゃうことが多いのかもね。

まとめ

典型的なアマトリチャーナ

  • グアンチャーレとペコリーノチーズをあえたブカティーニのトマトソース
  • ニンニクや玉ねぎを入れることが多い

発祥地「アマトリーチェ」のアマトリチャーナ

  • もともとは「グリーチャ」という、グアンチャーレとペコリーノチーズであえた白いパスタ
  • アマトリチャーナはグアンチャーレ、ペコリーノチーズをあえたスパゲッティのトマトソース

アラビアータ

  • トマト、ニンニク、唐辛子で作るソース
  • アマトリチャーナとの違いは、グアンチャーレとペコリーノチーズが入らないこと

世界中で人気になっても、本来の自分を貫くアマトリチャーナ。かっこいいね。

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