フルッタマルトラーナ ~死者の日のドルチェ~

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フルッタマルトラーナ~死者の日のドルチェ~

11月2日は「死者の日」

年に1度、死者の魂が帰ってくる、イタリア版お盆のような日らしい。

国は違えど似たような習慣ってあるもんだなぁー。と、しみじみ…。

さて、日本でお盆といえばおはぎを用意するのが定番だけど、イタリアにもこの日のためのドルチェが存在する。

通称「死者のドルチェ」

骨の形のメレンゲが乗ったビスケットやら棺桶の形をしたヌガーやら、北から南まで各地に色んな種類があるみたいだけど、有名なのはシチリアの「フルッタマルトラーナ frutta martorana」

直訳すると「マルトラーナのフルーツ」

見た目は果物そのものだけど、その正体はマジパンを果物に似せた甘いドルチェ。

シチリアはアーモンドの名産地だからアーモンドを使う菓子が多いそう。

というか、マジパンってアーモンドで出来ていたのか、という基本的なところからつまづいた。

だって、ケーキの上に載っているあの甘い人形でしょう。アーモンドが入ってるなんて知らなかった。

すりつぶしたアーモンドにオレンジフラワーウォーターと砂糖を組み合わせてマジパンを作ったら、木製の型に入れたり手で成形して果物に形づくり色を塗っていく。

まるで芸術家のように着色料を混ぜ合わせ、色を作っては塗り、乾いたら塗り、何層にも塗って…。

完成までは3日もかかるらしい。

そして出来上がったフルッタマルトラーナは本物のフルーツそのもの。1つ1つ微妙に形や色が違ったり傷のつきかたが違ったりと、細かい仕事はさすがシチリアの菓子職人。

でも、マジパンかぁ…。辛いな…。と思うんだけど、本場のフルッタマルトラーナはアーモンド風味が豊かで甘すぎず美味しいという話。

薄ーく切って、砂糖無しのカフェと一緒に食べるといいんだとか。

このドルチェが生まれたのは12世紀のことで、マルトラーナは修道院の名前。

この修道院には果物が豊かに実るそれは美しい庭があって、司教がその果物目当てに訪問したらしい。

しかし季節は晩秋。既に枯れ木になってしまった枝に果物は皆無。

そこで修道女たちが司教をがっかりさせないようにマジパンで本物そっくりの果物を作って枝から吊るしたんだとか。

この演出、ほんとの果物より嬉しいかも。いい話。

そして現代、死者の日には色とりどりのフルッタマルトラーナが色んな場所に隠れている。

子供たちが見つけたらそれは「亡くなったご先祖さまからのプレゼント」

死者がプレゼントを持って会いにきてくれるなんて、シチリアのお盆って楽しそう。

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