サンブーカが怖かった自分へ

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サンブーカが怖かった自分へ

お店に置いてあるのによく知らない物が存在すると居心地の悪い思いをしながら働くハメになる。

だから1つ1つ調べたり聞いたりして解決しないといけない。それは分かってる。

でも、必要になるシチュエーションがあまりにも少なくて後回しにしてしまう。

私にとってそんな存在だったサンブーカ。誰かがオーダーを受けるのをキョロキョロしながら待つやつ。

この苦手意識の理由って?それは「どうやって飲むのかが分からない」から。

何か、コーヒー豆入れて燃やしてるイメージとかがあるんだけど、それってやり方があるのか知らないし、大体それがメジャーな飲み方なのかも知らない。

サンブーカが怖かった自分へ。

それはアニス風味のリキュールで、アニスと数種類のハーブ(エルダーやリコリス)を漬けこんで作られる。砂糖が多く含まれていてかなり甘い。アルコールは40度くらい。

オーダーを受けるのは主に食後。デザートの代わりに飲まれることもある。

ストレートで飲まれることが多いけど、サンブーカならではの飲み方が楽しめる方法は2つ。

  • カフェ・コレット
  • サンブーカ・コン・モスカ

「カフェ・コレット」はエスプレッソに好みのリキュールを加えて飲む方法。中でもサンブーカは定番。

エスプレッソに入れる砂糖代わりに、甘くてほっとする香りのサンブーカ。

エスプレッソとは別々のグラスで出してもいい。そうするとお客さんが好きな量を加えられるし、飲み終わった後のカップをリキュールで洗って飲んだりできる。

かつてのイタリアの貴族は食後のカフェを飲んだら別の部屋に行って、グラス1杯のリキュールを楽しんだんだらしい。この1杯は「ammazzacaffe アマザカッフェ=(英)コーヒー・キラー」の愛称。

さて問題の「サンブーカ・コン・モスカ」。火をつけるやつ。

閉店作業後の静まった店内で、発注のために1人残る先輩を発見。

そのレストランって(かなり)年配の先輩方が多くて、みんな好き勝手働いている中でも孤立しているような人だったけど「コン・モスカ教えてください」と頼むと快く発注の手を止めてくれた。優しい。

「グラスにサンブーカを30cc入れるんだよ」

一旦グラスに注いだサンブーカをカクテルのメジャーカップの小さい方に移して量を確認。おお、ぴったり。

グラスに戻しながら「まだ腕は鈍ってなかったみたいだね」。

先輩、かっこいい!

「コーヒー豆を3粒入れて」

うんうん。

「火をつける」

おお。燃えている。

「で、消す」

ポケットから出したライターで火をつけたら、30秒くらい待ってコースターを被せて鎮火。

「すぐはグラスのふちが熱いから気を付けてね。簡単でしょ」

めちゃくちゃ簡単です。もうサンブーカは任せてくださいって感じです。

ちなみに「モスカ」っていうのはイタリア語でハエのこと。

一説によると、サンブーカの甘い香りに集まってきたハエを追い払うためにマッチで燃やしたことに由来するんだとか。

ハエはコーヒー豆として転生したのか⁇

火であぶることでコーヒー豆の芳ばしさが引き立てられて、サンブーカの甘さとほろ苦さが癖になる味わい。

3つのコーヒー豆には「健康・幸福・繁栄」や「過去・現在・未来」の意味があるらしい。

「サンブーカ・コン・モスカ」を飲んでコーヒー豆をガリガリかじるとき、閉店後のレストランとアウトローな先輩を思い出すんだろう。

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